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導入事例

CASIO Business : Case Studies[導入事例]
ハンディターミナル・PDA
スポーツプレックス・ジャパン様
2008年3月31日掲載
モバイルPDAとフィットネスの新しい関係:非接触ICタグと小型端末を組み合わせ運動履歴を把握
スポーツプレックス・ジャパン 碑文谷店
東京周辺に13店舗を展開するフィットネスクラブ、スポーツプレックス・ジャパンでは、カシオ情報機器のフィットネスシステム「mobile check-fit」を新たに採用した。ICタグを内蔵したリストバンドを用い、トレーニングを行うたびに、そのメニューを登録することで、会員一人ひとりの運動内容を詳細に把握するシステムだ。
機器メーカーによる運動管理システムから、PDAによる新システムへ移行
スポーツプレックス・ジャパン
本社スーパーバイザー 野島日出男氏
 

東京都心を中心に13店舗を展開するフィットネスクラブ、スポーツプレックス・ジャパンは、科学的な裏付けを取り入れたプログラム「medifit」(メディフィット)による、的確な指導を大きな特徴としている。店舗の半数ほどにはクリニックが併設されて医師が常駐しており、会員は問診や血液診断などを受けることができる。その上で、運動内容についてトレーナーのアドバイスを受けることはもちろん、食生活について管理栄養士のカウンセリングも受けることができる。医師が常駐していない店舗でも、TV電話システムによって他の店舗の医師に相談を受けられる。

フィットネスクラブ利用者の目的は、ダイエットや筋力アップ、健康維持・増進、運動不足解消など様々だ。だが多くの場合、運動した実績と、それによる結果が見えた方が効果的である。医師のカウンセリングやトレーナーによるアドバイスも、実際のデータに基づいて行われることで、より的確な指示が可能になるし、利用者にとっては、目に見える形で実績が示されることで、精神的に後押しされることとなり、長続きしやすいというわけだ。

そのため、スポーツプレックス・ジャパンでは、以前から独自開発のmedifitシステムで会員一人ひとりの詳細なデータを管理するようにしている。また、トレーニング機器などで運動すると同時にシステムが履歴を把握できるように、トレーニング機器メーカーが開発した運動履歴管理システムを組み合わせて用いることとし、ほぼ全店に採用してきた。しかし、活用をすすめていくうちに、いくつかの問題点もみえてきたという。

「使っていくうちに、このシステムにはお客様のニーズに合わない部分が多く、その一方で余計な機能が多くて使いづらいと感じられるようになりました。我々は運動履歴のデータがほしいのであって、そのデータを活用したいだけなのですが」と説明するのは、スポーツプレックス・ジャパン 本社スーパーバイザーの野島日出男氏。

例えば、自社製トレーニング機器には高い親和性を持つものの、他メーカーの機器には対応してくれないという問題があった。また、機器を使わないプールやスタジオでのトレーニングにも使いにくいものであったという。

さらに、システム面での問題もあった。経営企画室 システム企画グループ マネージャーの今井誠司氏は、次のように言う。

「しかも、海外のベンダーが作っているため、日本の我々が改善要求を出しても対応が遅いのが困りました。さんざん待たされたあげくに『その要求には対応できない』という回答を受けたこともあったほどです。バージョンアップの際にもトラブルが起きるなど運用上の問題が多く、限界を感じて他の製品を採用しようと考えたのです」

ニーズに合わせてmobile check-fitを改善し導入

新たな運動履歴管理システムの選定は、2006年の春頃から本格的に始まった。いくつかの製品を比較検討した結果、カシオ情報機器のフィットネスシステム「mobile check-fit」(モバイル・チェックフィット)を採用することが決まったのは8月のことだった。

ICタグを埋めたリストバンドをかざすことで、会員ごとに運動履歴を集計する
 
ほぼ全てのトレーニングマシンにPDAを設置。入力のしやすさも考慮した配置となっている
 

mobile check-fitは、非接触ICタグを用いたソリューションだ。フィットネス会員は一人ひとりがICタグの埋め込まれたリストバンドを会員証代わりに持ち、同時に、トレーニング内容を入力する端末の認証手段にも用いる。トレーニング内容を入力する端末は、ICタグ読み取り装置を取り付けた業務用PDA「DT-5200」だ。PDAのタッチパネルやテンキーで、何のメニューをどれだけ行ったか、トレーニングのたびに入力していくようになっており、機器を使うトレーニングから、プールやスタジオでのトレーニング、さらには血圧計などとも連携し、さまざまなデータを入力できるようになっている。

ただし、採用が決定した時点では、mobile check-fitはスポーツプレックス・ジャパンの求める機能を完全に備えていなかった。そこで、同社からの要求を元に、カシオ情報機器側で機能追加を行った上で導入することにしたという。

「我々からの要求事項をまとめるのに少し時間がかかりましたが、9月頃に仮発注を行い、約1年かけて改良を進めてもらいました。こういった対応を行ってくれることは、非常に助かりますね」(今井氏)
mobile check-fit導入の第一号店となったのは、2006年11月にオープンした碑文谷店。mobile check-fitの導入が決まってからのオープンとなったため、運動履歴管理は当初、紙ベースで行っていたという。

mobile check-fitが碑文谷店に導入されたのは2007年8月頃。建屋の内部に無線LAN環境を構築し、業務用PDAへの配線は電源だけで済むようにした。トレーニング機器に対しては、1台の機器に1台の端末を設置し、かつトレーニングする際の姿勢から自然に操作できるよう、配置を工夫したという。

スポーツプレックス・ジャパン
経営企画室 システム企画グループ
マネージャー 今井誠司氏
 

「端末を部屋の壁に設置して、そこで入力してもらう形も考えられますが、いちいち入力のために移動するようでは面倒ですから、データ入力がおろそかになってしまう可能性があります。そこで、機器を使ったトレーニングに関しては、全部の機器に端末を装備しておくことにしたのです」(今井氏)

端末の裏側には、VESA規格に対応したアームが取り付けられるよう、ネジ穴が用意されている。カシオ情報機器では、そのネジ穴を利用し、トレーニング機器の形が非常に多彩であることから汎用のアームではなく、機器ごとに様々な形の取り付け部材を作って設置することにした。一部、どうしても取り付けられない器具があり、仕方なく隣にスタンドを立てたものもあったが、ほぼ全ての機器に取り付けることができたという。また、スタンドでの設置は、機器を使わないプールやスタジオ、ウェイトトレーニングなどでも活用されている。碑文谷店だけでも、合計で100台近い端末が使われているという。

「以前のシステムでは電子キーを用いていたため、プールには着けていけませんし、スタジオでも邪魔になりました。mobile check-fitはリストバンドなので、マシントレーニングだけでなくプールやスタジオでも邪魔にならないのが便利ですね」(今井氏)

トレーニングのたびに内容を入力しデータを一元管理

mobile check-fitの導入後、碑文谷店では会員に専用リストバンドを配布して使い方を説明、システムの運用を始めた。現在では、二千数百人の同店の会員のうち、約半数ほどまでリストバンドを配布したという。

「当初は戸惑う様子も見られ、また業務用PDAの画面サイズの制約もあって特に年齢の高い方などには馴染みにくいようですが、多くのお客様は使っているうちに慣れてきているようです」と今井氏は言う。

タッチパネルPCをベースにした端末では、画面上で履歴を確認するだけでなく、情報を印字することもできる
 
スポーツプレックス・ジャパンでは、集計したデータに基づいたカウンセリングサービスも充実させていくという
 

mobile check-fitでは、できるだけ簡単に入力できるよう、いろいろな工夫が盛り込まれている。例えば機器を用いたトレーニングでは、端末にリストバンドをかざすとユーザーの認証が行われ、あらかじめユーザーごとに決められた機器設定が画面に表示される。例えばシートのポジションや運動負荷などは、事前のオリエンテーションやカウンセリングの際に、適切なトレーニング効果が得られるよう設定されており、システムに登録されているのである。トレーニング終了後、画面上の「確認」ボタンを押せば、トレーニングを完了したというデータがシステムに登録される。もしメニューを一部変更してトレーニングした場合には、端末のタッチパネルやテンキーを操作してデータを修正する。こうして入力されたデータは、最終的にスポーツプレックス・ジャパンのmedifitシステムに取り込まれ、カウンセリングなどに活用されている。

また、店舗内には独立した端末も設置されている。こちらはタッチスクリーンターミナル「BT-9000」をベースにしており、大きな画面で表示できる情報量も多いことから、過去の運動履歴やコンディションなどの情報を確認できるようになっている。プリンタも組み込まれており、情報を印字して持ち帰ることも可能だ。

「紙ベースで管理していた頃は、毎回のトレーニングのたびに手書きで記入していた紙を、店舗でファイリングしておく形でした。過去の運動履歴を把握するには、そのファイルをたぐって見る以外にありません。それと比べると、非常に楽になりましたね。また、継続的にトレーニング効果を上げていくためには、慣れてきたら負荷を強くするなどの対応が欠かせませんが、紙ベースの場合では、慣れた昔のメニューのまま続けてしまうケースもありました。mobile check-fitでは、毎回のトレーニングのたびにメニューが表示されるので、その意味でも効果的ですね」(野島氏)

各店のデータを集約し、全店展開を見据えて移行

今後、スポーツプレックス・ジャパンでは、mobile check-fitを他店舗にも展開していく方針だ。まずは、碑文谷店に続いて今年オープンした東松原店に導入することが決まっている。こちらも、mobile check-fitを導入する前提でスタートしており、現状では運動履歴を紙で管理しているという。
「さらにその後は、他店舗に入っている旧システムからの移行を考えねばなりません。今後3年の間には、全店でmobile check-fitを使うようにする計画です」

なお、mobile check-fitのサーバは、店舗内ではなくデータセンターに預けられている。従来のシステムでは、各店舗にサーバを配置しておかねばならなかった。そのため、システムの管理面でも負担は軽減されたという。もちろん、将来的に他店舗での導入が進めば、同じサーバで複数店舗を管理できるように設計されている。全店にmobile check-fitが導入されれば、他店舗とのデータ連携も可能になる。多くの会員は特定店舗に通っているが、ときには都合で他の店舗に行ってトレーニングを受けることもある。その際にも、確実にデータが得られるようになるのだ。

「他店舗への展開を進めると同時に、システムの完成度を高めていきたいとも考えています。碑文谷店で運用を始めてからはお客様からのフィードバックもありますし、ぜひそれらをシステムに反映させていただきたいですね。カシオには、今後も期待しています」(今井氏)

【導入製品・ソリューション】 ハンディターミナル DT-5200  フィットネスシステム